電話網は、人の声を伝えるためにつくられたネットワークである。音声はアナログ信号であるため、ネットワークもアナログ信号用にできている。ところが、アナログ信号は雑音の影響を受けやすく、伝送路が長くなるほど、また増幅器の数が多くなるほど信号の品質が劣化する。一方、デジタル信号は1か0かのパルス信号によるため、信号の修復が容易で安定した品質を維持しやすい。また、波形を意識する必要がないため多重化しやすいという特長もある。このような特長を持つデジタル信号がすぐにアナログ信号にとって変わらなかったのは、音声がもともとアナログ信号であることの他に、画像など大容量の情報を効率的に送るための圧縮技術の確立や、ネットワーク部品の小型化によるコストダウンを待たねばならなかったからである。これらの条件整備が満たされると同時に、情報通信分野では急速にデジタル化が進行している。